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しばらくです

 著者:千葉潮

しばらくです。二年三カ月ぶりに投稿します。
あまりの長きの不在、どうぞお許しくださいまし。

この間に、自分で出版社を起こし、新刊の編集制作発行、取次会社との交渉などでめまぐるしい年月をすごしました。
フリー編集という立場でもなくなってはいるのですが、やっていることはあんまり変わらないので、これからは随時投稿することにしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、7月から、日販さんとの間に取引口座が開設されました。また、鍬谷書店さんを通じて他の取次会社の帳合の書店さんにもご注文いただけるようになりました。
大手の取次会社様との間の取引口座の新規開設は、とても難しいと聞いております。
そのなかで、創業一年半で開設をしていただいたことに感謝しております。

さて、8月の新刊でいえば、『図書館を演出する』が好調です。
本書の発行者は「人と情報を結ぶWEプロデュース」さん。小社では、制作・製造と書籍流通ルートを通じての販売を行っています。
いかに利用者に親しまれる図書館を作り上げていくか、司書をはじめとした図書館職員の方たちは毎日腐心しておられます。本書はそんな司書の方の悩みに答える本。
魅力的な空間としてどのように図書館を演出するかを舞台芸術家の尼川ゆらさんが、アーティストの目から解説し、身近な素材での掲示アイデアを示唆してくれるかと思えば、大阪芸術大学図書館司書の多賀谷津也子さんは学生とともに作り上げた図書館での作品展の実践を惜しみなく公開。協働イベントに慣れない方のための実践ノウハウは尼川洋子さんが長年の図書館マネジメントの経験から書かれています。全体の監修は大阪女学院大学名誉教授の丸本郁子さんが務められ、理論的にも優れた内容となっています。

編集打ち合わせの際に、「これまで図書館員に向けた実践書がない。図書館学の学術書や論文集では現場ですぐには使えない。ビジネス書というイメージで、さらに装丁も美しいものを作ってほしい」というのがWEプロデュースさんからの要望でした。
その依頼に最大限こたえるべく、構成を再検討し、紙面デザインを考え、装丁についてもデザイナーとアイデアを練り合わせた結果、「合格」のお墨付きをいただきました。装丁は、新進デザイナーの古島佑起さんの作品。風合いのある白い紙にブラック箔の題字、そして、セルリアンブルーの帯が実にさわやかです。

「人と情報を結ぶWEプロデュース」代表の尼川洋子さんは、大学図書館の司書を長年務められた方です。私は、以前の職場の上司がご著書『女の本がいっぱい』(創元社)の装丁をしたのがきっかけで、知り合うことができました。その後、尼川さんがドーンセンターの情報ライブラリを整備された時期に、私もドーンセンターの英文情報誌の編集・製作に携わることになり、またお付き合いが深まることになりました。
ドーンセンターを退かれたのち、図書館のマネジメントセミナーや、フェミニストカウンセリングなどを主催される緩やかな共同体「人と情報を結ぶWEプロデュース」を設立されたのですが、出版事業もされることになり、私は『阪神・淡路大震災と図書館活動―神戸大学「震災文庫」の挑戦』(稲葉洋子著)、『気づいて乗りこえる―精神的DVに悩む女性のためのガイドブック』の編集をさせていただきました。
個人的には三冊目となる、WEプロデュースさんとの協働ですが、メディアイランドとしては初めてのお仕事となります。編集実務は小社スタッフが行い、もっぱら私は関係者間の調整役を務めました。

本書は少部数を印刷し、書店流通ルートに乗せるよりは自らの手売りを主体にしたいということでしたので、新刊委託配本は行わず、書店さんからの注文のみに対応することにしました。しかし何らかの告知は必要と判断し、版元ドットコムを通じて、主要な図書館にファックスでDMを送りました。
ニーズがあったのでしょうね。版元ドットコムのアクセスランキングでは数週間にわたってベストテンにはいっております。また図書館からのご発注が予想より多くあり、小社の商品管理担当はうれしい悲鳴を上げております。
新刊委託配本を選らばなかった理由は、読者層が一般的ではなく、司書かその周辺の方というごく限られた層であること、返品可能商品になると、傷みが激しく再販が不可能な状態で帰ってくることも多くどうしても廃棄本が多いということがあげられます。
また流通コストがけっこうかかるので、手売りのほうが利益率が高いということも大きな理由です。
出版物の性格により、新刊委託にするかしないかの、見極めが必要ですね。

書店店頭だけでなく、小社のインターネットショップ、また、WEプロデュースのWEBサイトでもご購入が可能です。アマゾンや楽天でも取り扱っています。

人と情報を結ぶWEプロデュース

この記事の著者:千葉潮 »プロフィール

ウェブサイト:http://www.mediaisland.co.jp/

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