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「日本語直します」講座・5

 著者:正木斗周

 さて、講座ですから、最初はやさしいと思っていても段々難しくなってきます(笑)。
 今回も教師の文ですが、センセイしっかりしてちょうだいと言いたくなるような、混乱した文章です。

【文例5】
 学校は学力回復という名目のもと、競争的で詰め込み的な方法が主流となり、授業数確保のために運動会や文化祭が削られるなど、子どもにとっての居場所や出番が少なくなっています。

《分析と修正のポイント》
・極端な文法的間違いなどはないのに、一読して意味が頭に入って来ません。これは、色々言いたいことがありすぎて、主語がどれかが曖昧になっており、いちばん言いたいことは何なのかがわかりにくくなっているためです。

・一文が長く、その中に主語-述語関係が複数入り込んでいる(重文)のも、文章をわかりにくくしている一因です。

・「学校は」を主語と考えると、どこにも述語がないことに気づきます。これは主語ではなく「学校においては」という提示にすぎません。
 この文の主語-述語関係は、⑴「〜な方法が―主流」 ⑵「運動会や文化祭が―削られる」 ⑶「居場所や出番が―少なくなっている」の3つあります。

・「方法」という表現自体が曖昧に感じられます。何の方法なのか、が抜けているためでしょう。

・「子どもにとっての居場所や出番」の「とっての」は余分です。「子どもの居場所」「子どもの出番」で十分。

・運動会や文化祭は「削る」ものでしょうか? 著者はむしろ、「時間」が頭にあって「削る」を使ったのでしょう。そうでなければ「なくす」「減らす」でよいはずです。

・根本的には、複雑な文を無理にひとつにまとめるな、ということです。

・重文は2つで十分。

《修正例》
 例によって、1は原文をなるべく尊重した修正。2はわかりやすさ優先の修正です。

1)学校では学力回復という名目のもと、競争的で詰め込み的な指導方法が主流となり、授業数確保のために運動会や文化祭の時間を削っているせいで、子どもの居場所や出番が少なくなっています。

2)学力回復という名目のもと、学校では競争的で詰め込み的な指導方法が主流で、授業数確保のために運動会や文化祭の時間が削られるようになってきました。そのため、子どもの居場所や出番が少なくなっています。

この記事の著者:正木斗周 »プロフィール

◆編集デザイナー、コーディネーター。DTPはQuark、PageMaker時代から。◆名前の斗周は柳名。本質を捉える今日的な時事川柳の発展普及を目指している。◆最近は仕事より趣味に走りがちで、3年後の個展を目指して水彩画に没頭しつつある。

ウェブサイト:http://epicuritique.masaki-design.biz/

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