勁版会という勉強会があります。月例会があり、今年中には300回を数えます。
本に関心がある人なら誰でも会員になれますが、もともと版元の書店営業担当者中心の会でした。今では、版元編集者、フリー編集、書店員、そして著者も……。
本にたずさわるさまざまな人が集まってきます。わたしにとっては、格好の情報交換の場です。
先月の会は京都開催。テーマは某大手書店の元アルバイト書店員さんの体験談。大手書店で働いているのがほとんど非正規雇用者なんだそうです。
何年経っても時給が900円にも満たないということを聞いて、驚くするやら悲しくなるやら。書店が非正規雇用なくしては成り立たない世界であることをリアルに認識しました。
書棚をつくり、お客様と本を通してのふれあいもあり、仕事のやりがいは出来てくるけれど、将来展望はまるでない。報告者の彼は、いまは書店から版元営業に転職。正社員にはなったけれど、会社の状況は……。
この会では、書店経営側から(他社ですけど)の立場説明があったり、「書店員同士で連帯して闘えばいいのだ」という諸先輩からの提案があったり……。
読者と一番近い立場にいる書店員さんの話を聞く、これは、編集者には不可欠かもしれませんね。
恒例の懇親会も盛り上がり、阪急電車の最終特急にようやく間に合うような始末。(毎回やけど)。。。。
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勁版会やほかの勉強会で出会った2人のトークライブが2月27日にジュンク堂書店大阪本店で行われました。
もと旭屋書店の湯浅俊彦さん(元・夙川短期大学准教授)がメインスピーカー。司会はジュンク堂大阪本店店長の福嶋聡さん。湯浅さんが新著「日本の出版流通における書誌情報・物流情報のデジタル化とその歴史的意義」(長っ)を出された記念の会です。版元のポット出版の沢辺社長がゲスト。
湯浅さんと福嶋さんは、POSシステム導入など書籍流通に関しては対極の論客同士です。
湯浅さんの新著は日本図書コードとISBN導入の事例研究に関する本ですが、トークでは、版元ドットコムや、Googleのブック検索への考察まで話が及び、ちょうど気になる事柄ばかりだったので、とても、有益かつ有意義な会でした。
参加者は出版業界に関わる人がほとんど。思いがけない人に再会できたのも収穫(私が編集した本の著者と、もと出版労連京都地協でお世話になった方のお二人)。もちろん勁版会のメンバーも多数でした。懇親会も行きたかったけれど、直前に別件が入り、名残惜しみながらもパス。
サインをしていただいた湯浅さんの著書は、取っ付きにくいタイトルの割には、さすが博士論文なだけあり、よく整理されています。また、付録の資料には井上ひさし氏はじめ、本に関するインタビューが掲載され、それも面白し。
Googleのブック検索で全文検索することも出来ます。