フリーランスの春闘宣言2025

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出版ネッツでは、2022年以来、毎年、「フリーランスの春闘宣言」を発出し、1990年代からまったく上がっていないフリーランスの報酬を上げようと、取り組みを行なっています。
このままではコンテンツ制作の技能だけでなく、産業の継承そのものが難しくなるのではないかと、私たちは危機感を持っています。産業を代表する働き方であるフリーランスの報酬を上げていく機運を作るべく、周知ご協力をお願いいたします。
フリーランサーの皆さまは、ぜひ、この宣言を仕事先に示して報酬アップを交渉してください。


コンテンツ産業を支える創作活動の従事者からすべてのみなさんへ

2025年1月31日
ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)

 紙と電子とを問わず、文字、ビジュアル情報に日々接する読者、ユーザーのみなさん、そしてそれを創り出す仕事に勤しんでいるみなさん、表現の現場で働くみなさん、業界のみなさん、経営者のみなさん、すべてのみなさんに訴えます。
 私たち出版ネッツは、成果物の正当な対価がフリーランスにも還元される春闘をと、’22年以来、フリーランスの春闘宣言を発し、前世紀からずっと据え置かれたままの報酬の、10%アップに取り組んでいます。
 この業界に働く、私たちのようなフリーランスの編集者、ライター、カメラマン、デザイナー、イラストレーター、校正者だけでなく、著名な作家、文筆家、ジャーナリスト、脚本家など、技術を伴う創作活動の従事者、文字情報作成従事者、クリエーターの多くが、紙とデジタルとを問わず、実に低廉な報酬、前世紀から据え置かれた報酬で仕事をしています。3日間かかる仕事が2万円、またはそれ以下では、生活していけません。
 出版社、コンテンツ・プロバイダー、取次、書店だけが産業ではありません。産業の要請によって輩出され、業界をかたち作っているフリーランスは、コンテンツ産業そのものでもあります。このクリエイティブワークが、替えのきく仕事として軽んじられる業界のままでは、次世代への継承もままなりません。仕事をして生活するという、労働者としての当たり前の循環が危機に瀕しています。創造の源泉である報酬の充実は、どうしても必要です。
 「安い日本」という呪縛から抜け出せていない経済に、毎年数%ずつ上昇する物価高騰が追い打ちをかけ、一昨年から始まったインボイス制度が混乱をもたらしています。インボイス制度によって、大半のフリーランスは減収となり、膨大な事務負担に直面しています。誰も得をしない、誰も幸せにしない制度です。昨年11月、フリーランス法(※)が施行されました。462万人と言われるフリーランスを、取引適正化で保護しようというものですが、生身の働き手である私たちは、さらに労働法制による保護を求めるものです。
 出版産業がコンテンツ・ビジネスへと変容を遂げていく産業状況にあっても、文字情報、ビジュアル情報は、商品であると同時に、文化的で普遍的な価値を持つものです。一方で、何年も何十年もフリーランスの報酬が据え置かれ、クリエイティブワークをコストと見立て、安さにのみ価値を見出すような、働き手を尊ばない産業は必ず衰退します。
 この春闘=春季生活闘争の期間を通じて、多くの企業が賃金アップを実施します。急速な人口減、粘着する人手不足、人材流出の危機感から、政府、財界までもが賃上げに取り組む今、フリーランスを含めたすべての働く者の報酬アップは社会的課題と言えるのではないでしょうか。
 創造の成果を世に問い、知的生産に向き合う、すべてのみなさんに改めて訴えます。フリーランスの報酬を、10%増額してください。雇用労働者だけでなく、フリーランスにも生活給を保障してください。
 フリーランサーは、この宣言を仕事先に示して報酬アップを交渉して下さい。69年目を迎える春闘の果実が、フリーランスにも届く春となることを、すべてのみなさんに訴えます。

※特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)


【過去の春闘宣言はこちら】
 フリーランスの春闘宣言2024

 フリーランスの春闘宣言2023

 フリーランスの春闘宣言2022

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