今、せせらぎ出版で編集中の本で、中国の人名がたくさん出てくるものがある。当然、その中には日本語の漢字にはない簡体字がたくさんある。それを InDesignでどのように入力すればいいか、今日までわからなかった。それが今日わかったので、うれしがって報告してみる。
この本の著者は原稿をワードで打ってきた。そのワードでは簡体字が画面でも読めるし、印刷してもプリントできる。ところがこれをテキストファイルにするとJISコードを持っていないので「?」となり、当然InDesignに流しても「?」という表示にしかならない。
例えば、日本語の漢字で「聶」(読み=じょう・ささやく。S-JISコード=E3E1 ユニコード=08076)というのがある。これの中国簡体字は、 上半分は「耳」で、下半分の「耳耳」の代わりに「双」におきかえたものになる(後からわかったのだが、S-JISコードはないが、ユニコードは 08042)。
これが著者のワードにはちゃんと簡体字が入っている。それをInDesignで表現できないなんて、悔しいではないか。
もちろん別の方法で作字をしてしまう(グリフレットの作字登録機能を使う)ことは可能だが、それは根本解決ではない。
そこで、アドビのサポートに聞いたり、自分で調べて、大体次のことがわかった。
●著者のワードデータは、MS明朝だが、簡体字の部分は「SimSun」という名前のTrue Typeフォントになっている。これがせせらぎ出版のパソコン(Windows)にも入っていたので読めた。
このフォントは後から入れた覚えはないので、Windowsにはじめからバンドルされていたものではないだろうか。
●InDesignで簡体字を表現するには、この「SimSun」を使ってもいいが、OpenTypeフォントの方が便利なので、「Adobe Song Std」というOpenTypeフォントを使った方がいい。これはInDesignにバンドルされているので、InDesignをインストールすると使え るようになっている。
●手順としては、次のようにする。
1.ワードからテキストファイルに変換して配置する方法はとらない。InDesignの「配置」メニューで、ワードファイルを指定し、 「Microsoft Word 配置オプション」で「テキストと表のスタイルおよびフォーマットを保持」にチェックをつけて配置する。すると簡体字の部分だけピンク色になるので、その部 分のフォントを「Adobe Song Std」にしてやると、簡体字になる。
というのが基本的な流れである。
参考までに、次の2点も覚えておくといい。
◎今後も、その簡体字を使う可能性があるなら、「字形」パレットで、「新規字形セット」(「中国簡体字」などという名前にしておくといい)を作成し、どんどん追加登録しておくと、簡単にクリック一発で簡体字が入力できる。
◎上記のように、「フォーマットを保持」してワードを配置すると、InDesignの本文書体をリューミンにしているのに、勝手にMS明朝になってしまったり、望んでいないワードのフォーマットをひきずってしまうので要注意。
なお、これと同様に韓国語独特の書体も対処できそう。そのためには、「Adobe Ming Std」を、ハングル文字入力には「Adobe Myungio Std」(いずれも Open Type フォント)を使えばいいのではないか、と思うのだが、まだ確認はできていない。
そのテストに成功すれば、またお知らせしたい。
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山崎亮一(せせらぎ出版・出版ネッツ関西)
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