たった15年前……

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今夜、毎月やっているInDesign勉強会を終え、結局終電間際まで飲んで、今、帰宅したところ。
我が阪神タイガースも中日に2勝無敗だったようで、ご機嫌。

ところで、勉強会のあと、飲みながら「せせらぎ出版では、15年前には暗室があり……」という話をしていたところ、「そんな話をブログに書いてよ」と、さる大姉御のリクエストあり。
では、書いてみるか、と酩酊のままパソコンに。

たった15年前の話。せせらぎ出版には、せまいフロアの3分の1を占める黒いビニール貼りの暗室がありました。なんのためか。その横には、5万円ほどで買った中古のモリサワ写植機があり、その印画紙現像のためです。

それだけでなく、暗室の中にはこれまた中古の製版カメラがあって、イラストを縮小して印画紙にしたり、写真を網かけして版下に貼るための印画紙を作ったり、ということをしていました。影文字などもこの製版カメラで作成していました。
そういうことは、近くに製版屋さんがいくらでもあるので、たのめばいいのですが、自分でやれることはやってみたかったのでしょう。

組版の大半は近所の写植屋さんにたのんでいましたが、下版の前夜など、写植屋さんが閉まって以後の時間に修正箇所がみつかり、明朝一番に印刷屋さんに完全版下を渡さねばならない、ということが頻発したために、中古写植機を買いました。
「一寸の幅、菜に虫いない……」(部首で文字をさがす文言)と呪文のような言葉をつぶやきながら、深夜に文字を血眼になって探す姿は、他人が見ると鬼気迫るものがあったやろなと思います。

今では、モリサワのフォントはオープンタイプ27書体セットで20万円くらいでしたっけ。これでも高いと思いながら買っているのですが、当時、写植の文字盤は1書体16万円とかしたと思います。
僕はモリサワの写植機しか持っていないのに、写研の「ナールL」と「ナールD」の書体を使いたくて、これらを28万円で買い、モリサワの写植機の文字盤 をドライバーと金槌で引っぺがして、写研の文字盤(ガラス板で、70cm×70cm位の大きさのもの)をはめこんでボンドで固定して使ったものです。

今から思うと、我ながらようやるわ、と思いますが……。
単に、好きやからそこまでやっただけなのか。
でも、僕は、やっぱり、組版を、とことん自分の納得いくまでやれる環境を作りたかったんや、と思っています。

だから、それ以後、DTPが出現し、パソコンで組版ができる、書体も豊富に選べる、ウィズウィグ(Wyswyg=What you see is what you get 要するに、出力の状態を画面で確認できること)がどんどん実現していったことは、僕にとっては涙が出るくらいうれしいことでした。
かつて、「本作りは、こうならないだろうか」と夢に思い描いたことが、今、当たり前のこととして、実現しつつあることに感慨深いものを感じるのは、僕一人でしょうか。


【写真】大川端の公園の桜もかなり散って、
川面をピンクにそめています。

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山崎亮一(せせらぎ出版・出版ネッツ関西)
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