「日本語直します」講座・8

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 埋れ木細工の製品説明として書かれたものです。

【文例8】

 仁賀保町の釜ヶ台地区で鳥海山の大噴火によりなぎ倒され、2600有余年の間火山灰と土砂の中に眠り続けていた天然杉の埋れ木を材料とした製品です。地中で永年染み込んだ色は埋れ木特有の色合いの良さを誇っています。

《分析と修正のポイント》
 被修飾句「天然杉の埋れ木」を説明するために修飾部が50文字以上もあって、前半を読み進むうちはいったい何を言おうとしているかわからず、読者は不安に駆られます。
 英語などではこういった場合、関係代名詞を使っていとも簡単に書いてしまえるのですが、日本語では厄介です(逆にいうと、長い関係代名詞を日本語に訳すときに、しばしばこの文例のような文になりがちです)。

 修正のポイントしては、無理に一文にするな、に尽きるでしょう。
 2つに分けてしまいましょう。それだけですっきり読みやすくなります。

《修正例》

 天然杉の埋れ木を材料とした製品です。
 この埋れ木は、仁賀保町の釜ヶ台地区で鳥海山の大噴火によりなぎ倒され、2600有余年の間火山灰と土砂の中に眠り続けていたもの。
 地中で永年染み込んだ色は埋れ木特有の色合いの良さを誇っています。

 2つ目の文の末尾を「‥‥ものです」とすることもできますが、一つ目の文末が「です」、3つ目が「ます」で終わっているため、同種の結語が並ぶと少しうるさく感じられます。
 そのためここではあえて「もの」と体言止めにしました。
 全体的に冗長性が感じられる文体、あるいは粘着的な文体の場合などは、体言止めを要所に入れることで軽快感を出すことができます(ただし入れ過ぎは禁物)。

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