今回は、小学校の図工の授業に関しての報告文です。
【文例4】
1枚の板から車をつくることは、ここ2〜3年取り組んできましたが、子どもたちにも好評で意欲的でした。
《分析》
「1枚の板から車をつくることは」と主題を提示して始まっていますが、この文で著者が最も強調したいのは、車ではなく、「1枚の板からつくる」ことであるはずです。そこをはっきりさせていないために、この文は何となくメリハリのないものになってしまいました。強調したいものをきちんと強調することが必要です。
「つくることは」「取り組んできました」と続きますが、「取り組んできました」の主語は「つくること」ではありません。隠れている「私」ですね。だから「つくることは‥‥取り組んできました」というつながりで読んでは間違いです。
「子どもたちにも好評で意欲的」は、漠然と読むと問題点に気づきません。「意欲的(であった)」の主語は「子どもたち」であるはずです。この短い文の中に2つの主語と述語、つまり2つの文を押し込んでいるために、わかりにくくなっています。主語を補うなどの工夫が必要です。
「取り組んできましたが」の「が」は順接の接続助詞です。一般に「が」は逆説として使われることが多いため、読者も逆説の文脈でつい読んでしまいがちです。その結果、誤読したり読みにくいと感じたりします。順接の「が」は別の表現に置き換えるなど、なるべく使わない方がよいでしょう。
《修正例》
1)車を1枚の板からつくることに、ここ2〜3年取り組んできましたが、子どもたちにも好評で意欲をもって関わってくれました。
2)車を1枚の板からつくるという取り組みをここ2〜3年続けてきましたが、子どもたちも意欲的で、好評でした。
3)ここ2〜3年、車を1枚の板からつくることに取り組んできました。子どもたちも意欲的で、好評をもって迎えてくれました。