カギ括弧(起し=「、受け=」)をInDesignでリューミンなどで組むと、幅一杯に表示・印刷されます(ここでは「大カギ」と表現)。これをもう少し幅の小さい、いわゆる「小カギ」にしたいことがあります。
調べてみると、普通のカギ括弧も小カギも、下記のようにShift Jisコードも、Unicodeも同じで、GID/CIDだけが違うことがわかりました。
起し-大カギ | 起し-小カギ | 受け-大カギ | 受け-小カギ | |
---|---|---|---|---|
Sift Jis | 8175 | 8175 | 8176 | 8176 |
Unicode | 300C | 300C | 300D | 300D |
GID/CID | 686 | 12123 | 687 | 12124 |
GID/CIDというのは、今まであまり意識しなかったのですが、調べてみると、文字の識別用番号で、
GID は True Type フォント用、CID は Open Type フォント用の番号だそうです。
このことは、InDesignの字形パレットで、カギ括弧の異体字を表示させて、その異体字にカーソルを置くと、コードが表示されて確認できます。
図02参照
図03参照
ここまでが予備学習です。
次に、標準のカギ(大カギ)を小カギに一括置換する方法を考えてみました。
「検索と置換」のメニューをいろいろ触ってみて、今まで使ったことのなかった「字形」タブが使えることがわかりました。
図05参照
まず「字形の検索」の「フォント」は検索対象のフォントを選択します(僕の場合はリューミンL)。
次に「ID」の欄を「unicode」でなく「GID/CID」に変更し、その右に「686」と入力します。するとその下の「字形」欄に「大カギの起し」が表示されます。
「字形の置換」の「フォント」は上記のとおりとし、「ID」欄も上記と同様に「GID/CID」に変更し、その右には「12123」と入力します。すると「字形」欄に「小カギの起し」が表示されます。
これで「すべてを置換」を押すと、ドキュメントのすべての大カギ(起し)が小カギ(起し)に一括置換されます。
これは今後も何度も使うことを考えて、名前をつけて「クエリに保存」します。
その方法は、一番上の「クエリ」欄の右のフロッピーのマークをクリックし、クエリの名前欄に「カギ括弧(起し)-小さく」と入力します(任意の名前でいいのですが、後述する山崎作のスクリプトを利用する場合は、正確にこのクエリ名をコピー&ペーストしてください)。
以上で、カギ括弧の起しを小カギにするクエリができました。
次に、カギ括弧の受けを小カギにするクエリを作ります。
図06参照
すべて、前項に準じて行い、
「字形の検索」の「GID/CID」の右には「687」と入力
「字形の置換」の「GID/CID」の右には「12124」と入力します。
そして、「クエリに保存」するときの名前を「カギ括弧(受け)-小さく」とします。
以上で、必要な2つのクエリができました。
この2つのクエリを一度に実行することができれば、「起し」も「受け」も含めて、「大カギ」を「小カギ」に一挙に変換することができるわけです。
このために、ありがたいことに、市川せうぞーさん作のすばらしいスクリプトが公開されていました。
「run_Queries.jsx」という名前で、複数のクエリを連続して実行してくれるスクリプトです。
この市川せうぞーさんのスクリプトを、山崎亮一がありがたく改変させていただいたスクリプトが「カギ括弧を小カギに.jsx」です。これを次行のサイトからダウンロードし、任意の場所に保存してください。
「カギ括弧を小カギに.jsx」をここからダウンロード
そして、Windows版のInDesign CS6の人は次のフォルダ内にコピーしてください。
C:/Documents and Settings/(ユーザー)/Application Data/Adobe/InDesign/Version 8.0-J/ja_JP/Scripts/Scripts Panel
Windows版のInDesign CS5の人は次のフォルダ内にコピーしてください。
C:/Documents and Settings/(ユーザー)/Application Data/Adobe/InDesign/Version 7.0-J/ja_JP/Scripts/Scripts Panel
Windows版のInDesign CS4の人は次のフォルダ内にコピーしてください。
C:/Documents and Settings/(ユーザー)/Application Data/Adobe/InDesign/Version 6.0-J/ja_JP/Scripts/Scripts Panel
Windows版のInDesign CS3の人は次のフォルダ内にコピーしてください。
C:/Documents and Settings/(ユーザー)/Application Data/Adobe/InDesign/Version 5.0-J/ja_JP/Scripts/Scripts Panel
Mac版の人は、上記の(ユーザー)以下のフォルダ構造が同じはずです。
InDesign CS6ではこのまま使えますが、CS3~CS5で使うには、1箇所だけ修正する必要があります。
上記のコピーが終わったら、InDesignの「スクリプト」パネルを開き(スクリプトパネルが表示されていない場合は「ウインドウ」→「ユーティリ ティ」→「スクリプト」)、「ユーザー」タブをクリックすると、「カギ括弧を小カギに.jsx」が表示されます。これにカーソルを置き右クリック、「スク リプトを編集」をクリック。
21行目と22行目が
//ターゲットをInDesign CS6にする
#target "InDesign-8.0"
となっています。
CS5の人は
//ターゲットをInDesign CS5にする
#target "InDesign-7.0"
に変更
CS4の人は
//ターゲットをInDesign CS4にする
#target "InDesign-6.0"
に変更
CS3の人は
//ターゲットをInDesign CS3にする
#target "InDesign-5.0"
に変更する。
変更はこれだけ。
これを閉じて、「カギ括弧を小カギに.jsx」をダブルクリック。
「検索範囲」を聞いてくるので、「ドキュメント」「ストーリー」「選択範囲」のいずれかを指定し、「OK」、続いて「はい」をクリックすると、瞬時にカギ括弧が小カギに変換されます。
ぜひお試しください。
また、小カギについて、InDesignの勉強部屋の過去ログで詳しいページがありました。下記のサイトです。ご参考までに
http://dtp-bbs.com/mt/indesignbbs/archives/1157_20080521220713.html
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